日本近現代史の100年の間、歴史と記億の後景に遠ざかって行った北上川舟運。
その帆影と舟唄が、新しい世紀の曙光の彼方から、いま、還って来る。
高速交通・高速情報の過剰な流れに、私たちはともすると巻き込まれ翻弄されがちです。そうした現代社会のいわば必然として、悠久の時を超えておのずから流れ行く川に惹かれるのでしょう。おのずからの流れに身をゆだねる北上川航行の夢は募るばかりでした。舟運復活を唱えてみても、物資輸送の経済性からは論ずるべくもなく、また、観光事業の目論見からは歪んだ航路が懸念されます。
しかし、私たちの北上川は、多くの支流を集め、その支流域を後背に広大な流域を形成するように、この10年、民間・行政を問わず、多くの思いと実践の流れを集め、ネットワークを広げてきました。「東日本水回廊構想」「北上川歴史回廊構想」、水辺プラザ、「流域民憲章」や北上川流域連携・交流の市町村や住民のきずな……。そして、これらの流れに励まされて進水したのが「平成の舟帯・北上川連携号」でした。
「平成の舟帯・北上川連携号」の航行による航路調査実現にあたって、21世紀を展望する核を「舟運復活」に求めようとする北上川流域民の熱き思いと国土交通省の川づくり、国づくりの方向性がまさに合致し、計画の一歩から協働することが出来ることを誇りに思います。本事業の意義と目的を明らかにし、流域諸団体、住民と北上川を愛するすべての人々に開かれた多彩で、未来に結ぶ企画とすべく提案致します。